平成29年度プロジェクト

平成29年度より、以下の3つのプロジェクトが活動中です。メンバー募集等の案内はこのページの下をご覧ください。


言語・認知・学習理論を基盤とした英語指導の新しい展開

<趣旨>

国際化の文脈の中で、コミュニケーションの手段としての英語を身につけることが求められている。このような時代において、テクストを翻訳して理解するための手段としての従来の学習英文法は、概ね指導のしやすさと学びやすさのみに焦点を当てたもので、学習者が使える(usable)英語を身につけるという側面を軽視してきたと言っていいだろう。2020年度から小学校に英語教育が導入されることになり、指導者の養成が急務ともなっている。現行の小学校教員免許取得要件から考えると、他教科と同様、英語についても英語科研究(2単位)と小学校英語科教育(2単位)の授業が必修となることが予想される。効果的な言語指導のためには、指導者が備えるべき言語知識の体系を、言語使用の文脈において必要とされる言語能力の諸側面を考慮し、言語、認知、学習理論を参照しながら改めて検討してみることに意義があるように思われる。

本プロジェクトでは、英語コミュンケーション能力の育成を基軸的目標とし、広く英語の音声・語彙・文法・談話および語用的側面を視野に入れ、従来の教科専門と教科教育を融合した「教科学」の立場から、学習者のための英文法について考察・分析していく。最終的には、英語学習者が効果的に学ぶことを可能にする文法指導法および学習法を提案し、成果を口頭発表、論文、著書などの形で公にすることを目指す。

<計画:3年計画>

[2017年度]

  • 英語教育/英語学習における言語要素(音声・語彙・文法など)の指導における現状と課題の検討

[2018年度]

  • 英語教育/英語学習における言語要素指導法のあり方の探求
  • 研究成果の発表(中部地区英語教育学会)

[2019年度]

  • 英語教育/英語学習における効果的な言語要素指導法の構築
  • 研究成果の発表(中部地区英語教育学会)

<メンバー>

今井隆夫(愛知県立大学[非常勤])、近藤泰城(桑名工業高校)、白畑知彦(静岡大学)、田村知子(愛知教育大学[非常勤])、中川右也(鈴鹿中学・高校)、藤井数馬(沼津高専)、宮武香織(札幌大学[非常勤])、松村昌紀(名城大学)

<メンバー募集について>

上記研究プロジェクトに関心のある中部地区英語教育学会員を対象に(非会員の方は学会入会手続きをしていただく必要があります)、プロジェクト・メンバーを募集します。

  1. プロジェクトに参加ご希望の方は2017年814日までに、下記代表宛にご連絡ください。
  2. 「本研究プロジェクトに関心のある方」には、次の方を含みます。
    1. 国際化時代にふさわしい英語コミュニケーション能力の育成について議論したい方
    2. プロジェクトにおける議論を踏まえて英語教育研究を進めたい方
  3. プロジェクトを進める中で年に数回行うミーティング(名古屋)に参加していただくとともに、メールのやり取りによる議論を行っていただきます。

<プロジェクト代表連絡先>

松村昌紀(名城大学理工学部)
masanori[@]meijo-u.ac.jp(お手数ですが、@ の前後の [ ] を取り除いてご連絡ください。)


CLILとアクティブラーニングによる外国語教育の可能性

<趣旨>

新学習指導要領では、従来の知識や技能 (何を知っているか、何ができるか)だけでなく、思考力・判断力・表現力等(知っていること・できることをどう使うか)及び、学びに向かう力、人間性等 情意、態度等(どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか)が目標とされる予定である。英語教育においても、今後は、単なる英語の知識や技能の習得を目的とするのではなく、英語使用の可能性や英語教育の目的を意識づけること、世界の多様な人々と外国語を使ってどう関わっていくかを目標とする必要があろう。CLIL(内容言語統合型学習)は、外国語を使いながら4C:Content(教科内容)Communication(言語)Cognition(思考) Culture/Community(文化や国際理解/協同学習)を育成するが、単に知識を与える学習法ではなく、生徒が能動的に考えたり、グループで話しあったりすることを重視し、加えて一つのテーマについて体系的に多様な指導方法(絵を描く、歌を歌う、身体で表現する、グループで問題を解く、寸劇をする)を用い、言語材料は繰り返しスパイラルに取り入れながら学ぶ。PBL(プロジェクトベース型学習)と協同学習を合体させたアクティブラーニングと言えよう。

しかしながら、CLILは一部では英語のバイリンガル教育と考えられている面もあり、そのような方法は、日本の一般的な公立学校での普及は難しい。特に小学校では、英語教科化に伴い多くの先生が英語教師の資格や研修が十分でない面もあり不安を抱えている。したがって本プロジェクトでは、4Cの育成を目指すというCLILの理念を通した外国語教育の実践の可能性を探ること目的とする。具体的には、1)CLILの理念について国内外の実践例を踏まえた外国語教育の在り方や指導法の普及、2)日本の文脈に合わせたCLIL型指導実践例の企画・提案、3)CLIL実践の有効性についてのアクションリサーチ型研究、の3つを提案したい。方法としては、中部地区英語教育学会での年次大会発表、及び愛知大学での「CLILとアクティブラーニング研究会」の活動を通し、研究報告や提案・討論などの発表やワークショップを行う予定である。

<計画:3年計画>

1年目:4C を育成するCLILの国内外の実践例を踏まえて日本の文脈に合わせた指導法について検討。愛知大学での「CLILとアクティブラーニング研究会」等で報告、中部地区英語教育学会年次大会での発表。

2年目:CLIL型指導実践例の企画・提案とそれまでの調査結果を中部地区英語教育学会年次大会にて発表。「CLILとアクティブラーニング研究会」等ではワークショップ開催。

3年目:引き続き日本の文脈に合わせた指導法の検討と提案、さらに実施事例のクションリサーチ型研究を実施。これまでの研究成果を中部地区英語教育学会年次大会にて発表する。

<メンバー>

代 表:犬塚章夫(刈谷市立小高原小学校)
事務局:安達理恵(愛知大学)
会 計:藤田 賢(愛知学院大学)
加藤拓由(春日井市立鷹来小学校)、古家貴雄(山梨大学)、田上達人(松本市立寿小学校)、西田理恵子(大阪大学)、村上裕美(関西外国語大学短期学部)、樫本洋子(大阪教育大学(非))、柳田綾 (桜花学園大学)、山本孝次(愛知県立刈谷北高等学校)、工藤泰三(名古屋学院大学)

<メンバー募集について>

上記研究プロジェクトに関心のある中部地区英語教育学会員を対象に(非会員の方は学会入会手続きをしていただく必要があります)、プロジェクトメンバーを募集します。

  1. プロジェクトの趣旨に賛同し、参加ご希望の方は2017年7月31日までに、事務局安達宛radachi[@]vega.aichi-u.ac.jp (@の前後の [ ] を取り除いて)ご連絡ください。
  2. プロジェクトを進める中で年に数回行うミーティング(名古屋)に参加していただくとともに、FB上でのやり取りによる議論を行います。

日本のEFL環境における、生徒の英語でのコミュニケーション意欲を高める指導の工夫:情意面、動機づけ、WTCの観点から

<趣旨>

英語教育における目標はコミュニケーション能力の育成にある。しかしながら、教師の英語での授業や、生徒が実際に英語を使用しての能動的な学習が求められながらも、生徒が主体的に英語を話そう、英語を使ってコミュニケーションを図ろうとする意欲は高いとは言えない。日常生活において英語に触れることが少なく、また英語でコミュニケーションをする必然性のあまりない環境において、多くの生徒は英語を言語としてではなく入試科目の1つとして学んでいるという現状がこの背景にあると考えられる。本プロジェクトは、このようなEFL環境において、どのように生徒の英語でのコミュニケーション意欲を高めていくことができるのかを、情意面(不安や自信)、動機づけ (内発的動機やL2自己)、特に、学習者が英語でコミユニケーションを主体的にとろうとするWillingness to Communicate (WTC)に焦点を当て、理論と実践の両面から研究していく。いわゆる海外での第2言語習得(SLA)研究による知見をそのまま日本で採用するのではなく、日本での外国語としての英語学習環境において、どのように生徒のコミュニケーション意欲を高め、英語使用を増やしていくことが出来るのかを模索し、具体的に提案していく。教師自身のWTC、信念、価値観なども取り上げ、さらに実際の授業での活動なども質的に分析し、生徒・教師両面から包括的に分析を行う計画である。

成果については、中部地区英語教育学会の年次大会、自主的な研究会開催での発表を考えている。なお、発表等での使用言語は基本的に英語とする。

<計画:3年計画>

[1年目]

  • 日本人学習者の英語でのコミュニケーション能力育成について、情意面に焦点を当て、その効果的な方法について検討する。2018年中部地区英語教育学会において研究成果を発表する。

[2年目]

  • 引き続き、生徒の英語でのコミュニケーション意欲を高める指導の工夫について、理論と実践の両面から検討を行い、2019年中部地区英語教育学会において研究成果を発表する。

[3年目]

  • 研究会等を開催し各自の研究・実践の成果を共有し、2020年中部地区英語教育学会において研究成果を発表する。

<メンバー>

笠原究(北海道教育大学)、James Hall(岩手大学)、古賀功(東海大学)、今野勝幸(静岡理工科大学)、奥平和也(訓子府町立訓子府中学校)、鷹野英仁(甲斐市立双葉中学校)、石田正寿(三重県立桑名西高等学校)、泉谷忠至(近畿大学附属高等学校・中学校)、冨田房敬(京進)、佐藤臨太郎(奈良教育大学、プロジェクト代表者)

<メンバー募集について>

上記研究プロジェクトに関心のある中部地区英語教育学会員を対象に(非会員の方は学会入会手続きをしていただく必要があります)、プロジェクトメンバーを募集します。

  1. 以下の方は、ぜひ、プロジェクトへの参加を考えてください。
    • 生徒(あるいは教師)のコミュニケーション能力の育成、意欲の向上について議論したい方
    • 生徒のコミュニケーション能力の育成、意欲の向上のために授業で工夫をされている方 (なお、ここでの生徒とは小・中・高・大と広く捉えています)
    • 今後、プロジェクトにおける議論を基に、研究や実践を進めていきたいと考えている方
  2. プロジェクトに参加ご希望の方は2017年8月18日までに、下記代表宛にご連絡ください。  佐藤臨太郎 sato.rintaro[@]nara-edu.ac.jp (@の前後の [ ] を取り除いて)